メールマガジンとっとり雑学本舗


第41号(2000年12月12日)「とっとり豆知識」より

 ●蛇にまつわる話.その1

   年賀状の季節になると、毎年、来年の干支が話題になりますね。来年は
  巳(み)の年、すなわちヘビ年です。
   そんなわけで、今回から3回シリーズで、鳥取に伝わる蛇にちなんだ話
  をお届けしたいと思います。

   鳥取砂丘の一角に、多鯰ヶ池(たねがいけ)という池があります。面積
  約2.4平方キロ、中国地方で最も「深い」この池は、池に入る川も出る
  川もなく、神秘に満ちた青緑色の水をたたえています。
   長い間、池での漁や養魚が避けられてきたのは、その神秘性とともに、
  蛇身の美女伝説が語り継がれてきたからでしょう。
   その伝説というのは...

   その昔、国府町のある長者の家に、福部村から「おたね」というたいへ
  ん美しい娘がお手伝いとして雇われていました。
   秋の夜、家人が「何か食べたい」と言うと、おたねはどこからともなく
  美味しい柿をとってきては皆を喜ばせました。
   そんなことが何度か続いたある夜、不思議に思った家人は、若者3人に
  おたねの後を追わせることにしました。

   いつものように家を出たおたねは、多鯰ヶ池の方へ歩いていきます。ど
  こに行くつもりかといぶかりながら若者たちがついていきますと、何も知
  らないおたねは、そのまま池の中に飛び込み、池の中ほどにある小島に泳
  ぎ着くと、1本の柿の木によじ登り、その実をもぎはじめたのです。

   月明かりの中、はたして3人が見たものは、一匹の大きな蛇でした。
   驚いた若者たちは、家に帰って長者にすべてを話しましたが、その後、
  おたねは帰らず、長者の家も貧しくなっていったということです。

   さて、この多鯰ヶ池伝説については、『因幡民談記』に、もう一つ別の
  話が描かれています。
  
   昔、国府町の稲常という長者の娘「おたね」が、寺の稚児僧に思いをか
  け、思いあまって蛇身になり、ついには池の主になったというものです。
  
   いずれにしても、多鯰ヶ池の名称は、これらの伝説に登場する娘の名前
  からつけられたとのことですが、もしかしたら、多鯰ヶ池という名前が先
  にあって、その神秘性ゆえに、「おたね」の伝説が生まれたのかもしれま
  せんネ。
   
   次回は、江府町の七色ガシにまつわる蛇の話をご紹介します。
                                (E)