メールマガジンとっとり雑学本舗


第62号(2001年03月02日)「きょうの鳥取県」より

 ●振り袖の女の子が愛らしい伝統行事「ひな流し」

   明日3月3日は桃の節句ですね。わが鳥取県の東部(昔の因幡地方)一
  円には、旧暦の3月3日に行う「流しびな」の行事が今も残されています。
  なかでも用瀬(もちがせ)町の「雛送り」はもっとも有名で、毎年全国か
  ら多くの見物客が集まります。
  
   もともと、流しびなというのは、2対の雛を用意し、1対を自分の体に
  なでつけ、災厄を託して川に流し、残りの1対は神棚にそなえておき、そ
  の年のうちに病人が出ると流す、などしたもの。

   用瀬町では、3月の節句に、きれいに着飾った女の子が、桟俵(さんだ
  わら)にのせた夫婦雛や桃の花などを千代川(せんだいがわ)に流します。
  今年は3月27日(火)だそうです。

   無病息災でこの1年間幸せに暮らすことができますように...両手を
  あわせる女の子たちがとても可愛らしい情緒豊かな民俗行事であり、町に
  本格的な春の訪れを告げる行事でもあります。
  
   古来、人々が季節や農作業の節目として年中行事をおこなう日がありま
  した。神様へ供えものをするので、節供(節句)と言います。江戸時代に
  は、人日(じんじつ:正月7日)、上巳(じょうし:3月3日)、端午
  (たんご:5月5日)、七夕(たなばた:7月7日)、重陽(ちょうよう:
  9月9日)が五節供とされました。
   上巳の日を桃の節句というのは、旧暦3月3日の頃は桃の花が咲く季節
  だからです。
  
   中国では、上巳の日に川で身を清める習慣があったようですが、平安時
  代の日本に取り入れられ、その後、紙で小さな人の形代(かたしろ)を作
  り、それに災厄を託して川や海に流し、不浄をはらい清めるようになりま
  した。
  
   この人形が次第に精巧な人形になり、流すのではなくて飾っておくよう
  になったのが、ひな祭りの原型です。はじめ貴族の間で行われ、やがて武
  家社会で、さらに江戸時代には庶民の間でも行われるようになりました。
  
   はじめは、5月5日の端午の節句とともに、男女の別なく行なわれてい
  ました。しかし人形が豪華になるにつれ、こちらは女の子のための祭りと
  なり、逆に端午の節句は、菖蒲の節句とも言われることから「尚武」にか
  けて男の子の祭りとされるようになったとか。
  
   さて、流しびなの里・用瀬町には、古今のひな人形を集め、ひな祭りの
  文化を伝える「流しびなの館」もあり、ここを訪れる女性の方も多いよう
  です。また用瀬町だけでなく、鳥取市内でも流しびなの行事が行われます
  が、こちらは4月1日(日)となっています。
  
   鳥取県には、遠く平安時代・室町時代から続く、こうした伝統行事が、
  今もなお息づいているのですね。
                                (Z)
  
    ○鳥取県観光課ホームページ「流しびなの行事」
      http://www.pref.tottori.jp/kanko/special/nagashibina.htm
      (流し雛の様子や、詳しい交通アクセスがわかります)
    ○用瀬町商工会ホームページ
      http://www.infosakyu.ne.jp/motigase-s/
      (画像満載の「桟俵の作り方」は必見です)